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1 そもそも輝度箱(KIDOBAKO)とは

決まった面積において、輝度や色温度を均一に発光させる光源を輝度箱と呼んでいます。発光する面部分を「輝度面」と呼んでおり、この輝度面での輝度や輝度ムラを仕様に記載しております。

2 輝度と相関色温度

輝度【明るさ】について

面で発光するため、単位面積当たりの光度を示す輝度=cd/㎡(カンデラ / スクエア・メートル)で表すことが多く、カメラ関連のお客様では絞りとシャッタースピードの関係からわかりやすいLV(エルブイ)という単位を使用することもあります。このLVは1単位増えると輝度は2倍、又は1/2倍変化します。

基本的には一台で再現できる輝度範囲が広ければ広いほど高性能と言えます。高輝度や低輝度に特化したタイプも存在しています。

相関色温度【色味】について

発光する色味を数値で表す事ができます。多くの機種では相関色温度で示しています。単位は[K](ケルビン)を用います。数値が低いほど赤みがあり、数値が高いほど青みがあります。

ハロゲンランプと同等の色温度である2850K付近や昼間の太陽光と同等の色温度である5500K付近で発光するタイプ等、多くの光源があります。輝度範囲と同様に、再現できる色温度が多ければ多いほど高性能な光源と言えます。

3 輝度箱の特長

主に下記のような特長を持っています。

  1. 輝度や色の均一性が高い(又は輝度ムラが少ない)
  2. 決められた輝度を維持することができる
  3. 決められた色や輝度に変更することができる

4 主な用途

下記のような代表用途があります。

  1. カメラやイメージセンサの生産管理
    輝度箱の輝度や色を基準光として、大量生産されるカメラやイメージセンサを校正します。それにより市場に機差の少ない良質なカメラ製品が供給されます。
  2. カメラのシェーディング
    均一な明るさで発光している面を撮影します。レンズを含め画角の中心から隅までどの程度均一に光がセンサへ入るか測定評価、又は補正をするために使用します。
  3. 輝度計の日常点検
    輝度計を日ごろから使用している場合、常に輝度計の示す値が正常なのか確認する必要があります。輝度箱の光を基準光とすることで日常点検に使用します。
  4. 輝度計の機差測定
    複数の輝度計(同じメーカーでも、違うメーカーでも問わず)の機差を測定することができます。
  5. センサの感度特性の測定
    決まった輝度に変更できる輝度箱を使用すれば、暗い輝度から明るい輝度までセンサに綺麗に入力されているか評価することができます。リニアリティなどと呼んでいます。

5 輝度箱内部、輝度調整の原理

多くの輝度箱は下記のような構造になっています。

右端のオレンジが光源ランプです。
赤い部分の輝度調整部分を通り灰色の拡散箱へ光が入ります。ここで光を拡散させて、黄色の拡散面(物質としては拡散板)に光が到達します。
一連の部品が輝度箱内部に装備されています。

指定の輝度にするには下記のような方法を取ります

2枚のV字型のシャッターを使用する

右図のようなシャッターを使用して光の通る量を調整します。
この機構を使用すれば細かい輝度の調整が可能です。

ランプを前後に移動させる

主に輝度の微調整に使用できます。

パルスのDutyを変更する

LEDの周波数点灯をする光源にて使用可能です。
周波数当たりの点灯時間の幅を調整することで輝度を調整します。
輝度を大きく変更することはできませんが、細かく調整することが可能です。

電圧や電流を変更する

ハロゲンランプの場合には点灯電圧を、LEDの場合には電流を調整することで輝度の調整が可能です。

6 相関色温度の調整

相関色温度は下記のように変更、調整します。

【青色のガラスを使用する】

ハロゲンランプは通常2850Kや3200Kなど低い色温度で点灯しています。
色温度を上げるために青色のガラスを光軸上に配置します。
この青色のガラスを出し入れ、又は切り替えることで色温度を大きく変更することができます。
キセノンランプは高い色温度なので、赤みのあるガラスを挿入することで色温度を下げます。

【固有の色温度を持つLEDを使用する】

LEDの場合には素子が特定の色温度で発光するよう調整されています。希望の色温度に合わせたLED素子を選びます。
色温度の切り替えを行うには、複数種のLEDを光源ランプに使用して、切り替えることで可能です。

【ランプの点灯電圧で調整する】

ハロゲンランプの点灯電圧を調整することで色温度を微調整することが可能です。

7 輝度や色温度の補正機能(フィードバック機能)

一部機種では、光線上のどこかに光量センサを配置して、輝度や色温度を監視しています。目標値に対してズレが発生したと検知すると補正する機構が装備されています。

弊社のカタログや仕様書では下記のように記載されています。

  • 輝度:光量フィードバック機能(フィードバック動作、FB機能、光量サーボ方式、これも同じ意味です)
  • 色温度:色温度のフィードバック機能

補正の仕方は、前述の調整方法のどれかを使用しています。

フィードバック機能を装備することで、ランプ自体の劣化による変化や、周辺温度による変化に強くなります。また日常点検の時間が削減されます。

8 光源ランプの特長と分光分布

【分光分布】

分光分布(スペクトル)は光を波長(色)毎に分けて表したものです。同じ色温度で発光していても、含まれる光の成分(波長)は大きく異なります。しばしば要求される仕様として、○○と同じスペクトルを持つ光源の作成があります。

現在はLEDを使用した機種が多くなっています。

【LEDランプ】

特長 白色から特定の色まで様々な色に対応。
近年光源ランプとして需要増加
長所 ハロゲンに比べれば熱量は少ない
高い色温度でも高輝度で発光することができる
特定波長のみで発光させることができる(RGBの他、IRやUV光など)
ランプ寿命が長い
ハロゲン光源に比べ筐体を小さく軽くすることができる
短所 ハロゲンに比べると近赤外域のエネルギーが少ない
太陽光に近い分光にならない場合がある(白色LED-5000Kのようにピークが出てしまう)右図は赤、緑、青にピークを持つLEDを同時に点灯させた際の分光です


【ハロゲンランプ】

特長 通常は2850K程度の色温度
従来から用いられる標準的なランプ
長所 点灯電圧で色温度の微調整ができる
ランプの価格が安価
分光がなだらか
短所 熱が多く発生する
(熱対策のためIRカットも可能)
ランプ寿命が短め
高い色温度では輝度が出ない

【キセノンランプ】

特長 キセノン管を使用したランプ
放電させることで点灯させる
標準的な色温度は5000~7000K程度
長所 太陽光に近い分光
同じ明るさを出す場合、ハロゲンに比べ効率がよい
高い色温度を高輝度で出すことができる
短所 ランプの価格が高価
ランプ寿命が短い
低い色温度ではフィルターを使用するため最高輝度が落ちる

9 輝度面と輝度均一性

【輝度面】

輝度面はφ20mmから500mm角まで幅広く対応しています。ランプ光量が一定の場合、輝度面を大きくすると最高輝度が低下します。輝度面が大きくかつ高輝度を求める場合には、装置重量や寸法、価格、電力などの考慮が必要です。

【輝度均一性】

輝度均一性を壼坂電機製品では輝度ムラとして、均一性に対して逆の表記をしています。面内の輝度がバラついていては、定量的な評価が出来ず光源として使い物になりません。

輝度均一性を向上させるには

  • 輝度面全域を有効面としない(輝度面の縁は輝度が落ちる傾向)
  • 中輝度、高輝度域での使用を前提とする

などの対処が有効です。

積分球式のムラ低減

拡散箱にて光を拡散して拡散板へ輝度のムラを少なくして発光させますが、さらに輝度ムラを低減させる方法として積分球を使用している機種があります。型式では「LSBS」となっています。拡散箱の代わりに、球体の内部で光を拡散させる方式です。装置が高価になりますが、拡散箱方式では達成できない輝度ムラを可能にします。

積分球光源の例 LSBS-310WCRI

10 校正・オーバーホール・メンテナンス

光源をご使用頂くうえで、校正やメンテナンスが必要になります。

【日常のメンテナンス】

項目 頻度 備考
輝度と相関色温度の確認 2000時間~4000時間に1回
(毎朝チェックをすればさらに良い)
輝度箱にFB機能が備わっている場合にはより長い時間ノーメンテナンスでご使用可能です。確認には輝度計や色温度計が必要です。
冷却ファンのフィルター清掃 3か月に1回程度 埃が堆積していたら清掃
フィルターが破損した場合は交換してください
拡散板の傷チェック 半年に1回程度 拡散板に傷があると輝度がズレてしまう可能性があります

校正について

校正は1年に1回を推薦しております。
原則弊社に引き上げての対応となります。期間は2週間程度です。

オーバーホールについて

光源ランプの種類や明るさ、色などで前後はしますが2~3年に1回行って頂ければ長くご利用頂けます。

原則弊社に引き上げての対応となります。期間は3週間程度です。
費用は作業内容や交換する部品により変動します。

オーバーホール作業の内容

金属部品の酸化による色温度の変化、最高輝度の低下や、内部のセンサへのゴミの付着による輝度の再現性の悪化を抑えるために消耗部品を交換します。合わせて校正作業を行います。

11 最後に

最後までご覧頂きありがとうございました。

当社の輝度箱は標準品はもちろん、お客様のご要望に合わせたカスタムも行っております。
カスタム時には下記の基本仕様をベースとして製作させて頂きます。

  • 必要な輝度と色温度
  • 輝度面の大きさ
  • 光源ランプ
  • FB機能の有無

今後とも壺坂電機の輝度箱をご使用下さいますようよろしくお願いいたします。